CRM推論モデルKoaは、顧客データを学習にも推論にも使わず、Salesforceのシステム内で稼働する。合成CRMデータによる追加学習と自社管理の重みにより、社員向けエージェントを駆動している。
汎用モデルをCRM操作向けの推論モデルへ追加学習
CRM推論モデルKoaは、NVIDIAのオープンモデルNVIDIA Nemotron 3 Superを基盤に構築された。Salesforceにとって、CRM業務を対象にした初の推論モデルとなる。
基盤モデルの追加学習(post-training)には、約27年にわたるSalesforceのCRM導入から得た知見に基づく独自の合成データセットを使った。これにより、一般的な推論モデルをCRM操作に特化したモデルへ変更した。
教師あり微調整と強化学習で業務シナリオを組み込む
追加学習は、教師あり微調整と強化学習を組み合わせている。強化学習の構築には、NVIDIA NeMo RL、NeMo Gym、NeMo AutoModelを使用した。
学習コーパスは、14以上の業界を対象とする合成エンタープライズシナリオで構成される。製造、金融、医療、旅行などの業務状況を含め、CRM上で必要になる推論と操作を学習対象にした。
重みと実行環境をSalesforceのシステム内に置く
NVIDIA Nemotronがオープンモデルであるため、Salesforceは追加学習後のKoaの重みを管理できる。モデルの実行も外部のモデルサービスへ委ねず、Salesforceのシステム内で完結させている。
Salesforceによると、Koaの学習には顧客データを使用していない。稼働中の推論にも顧客データを使わず、学習時と実行時の両方でデータ利用の境界を設けたとしている。
CRM操作の評価を経て社員利用から顧客試験へ
Salesforceの評価基盤CRM Benchは、商談の更新、問い合わせの振り分け、フォローアップの予定設定など、実際のCRM操作を課題に含む。NVIDIAによると、Koaは主要モデルと同等以上の性能を示しながら、エラー数を比較対象の3分の1に抑えた。
KoaはすでにSalesforce内で稼働し、Slack上の社員向けエージェントを駆動している。2026年10月にはAgentforceで顧客が選択できるモデルとして顧客向け試験へ移り、米国リージョンでの一般提供は2026年冬に予定されている。