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F-16でAI自律操縦試験を開始、中核ソフトウェアは変更せず

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    操縦士が機内で監視するF-16で、AIエージェントが飛行を自律制御する空中試験が行えるようになった。

  2. 実現の仕組み

    VENOM Autonomy Kitが飛行制御とミッションシステムへ接続し、スイッチ操作で人間による制御とAI制御を切り替える。

  3. 得られた結果

    米空軍とDARPAが共同で進めるVENOMでは、複数のF-16が自律飛行対応の試験機へ改修された。

  4. 従来との違い

    一機限りの専用実験機を使った先行試験から、標準的な運用機を基にする複数の実飛行試験機へ基盤が広がった。

格納庫内のF-16試験機と既存の飛行制御系へ接続する自律操縦キットを描いた技術イラスト
AI生成画像

F-16の中核ソフトウェアを変更せず、AIエージェントが飛行を自律制御する空中試験が始まった。専用キットを制御系へ接続し、操縦士が機内で監視しながら人間による制御とAI制御を切り替える。

複数のF-16を自律飛行の試験機へ改修

米空軍と米国防高等研究計画局(DARPA)が共同で進める自律飛行試験プログラムViper Experimentation and Next-generation Operations Model(VENOM)では、複数のF-16を自律飛行対応の試験機へ改修した。DARPAによると、そのうちの機体ではAIエージェントが飛行を自律制御する空中試験が行われている。

改修機は、AIモデルをシミュレーションだけでなく実際の飛行環境で動かすための空中試験基盤となる。今回確認された段階は、AIによる将来の任務遂行ではなく、操縦士の監視を伴う実飛行試験である。

中核ソフトウェアを残して飛行制御へ接続

DARPAによると、VENOMの改修ではF-16の中核ソフトウェアを変更せず、飛行制御とセンサーを自動化したという。機体の中核部分を置き換えるのではなく、AIが既存の制御系を操作するための接続経路を加えている。

この接続を担う専用装置がVENOM Autonomy Kit(VAK)である。VAKは飛行制御とミッションシステムに接続するインターフェースを使い、AIエージェントの出力を機体の制御へ反映させる。

スイッチで人間制御とAI制御を切り替え

操縦士はスイッチを操作することで、従来の人間による制御とAI制御を切り替えられる。AIが飛行を制御している間も操縦士は機内に残り、エージェントの動作を監視する。

操縦士は、飛行システムとミッションシステムの試験目標が満たされるよう監視を続ける。改修機には、この試験を支える専用ハードウェア、ソフトウェア、計測機器も搭載されており、AIの制御と機体の挙動を飛行中に扱える構成となっている。

一機限りの専用実験機から既存機ベースの基盤へ

先行する自律航空戦研究プログラムAir Combat Evolution(ACE)では、一機限りの専用実験機X-62A VISTAが使われた。DARPAは、この機体による試験で、AIエージェントがドッグファイト中の戦闘機を自律操縦できることを実証したとしている。

VENOMでは、試験基盤を既存のF-16から改修した複数の機体へ広げた。DARPAは、VENOM改修機の飛行により、標準的な運用機をAI対応へ転換できることを示したと説明している。

次段階は複数のAIを使う実飛行試験

Artificial Intelligence Reinforcements(AIR)は、VENOM改修F-16を次段階のAI開発へ利用するプログラムである。計画では、複数のAIエージェントを実飛行シナリオで試験する。

AIRは、モデル開発の速度と予測性を改善し、飛行試験を複数機による複雑性の高い運用へ拡大する方針を示している。複数のAIエージェントと複数機を組み合わせる試験は今後の計画であり、現時点で実施が確認されているのはVENOM改修F-16におけるAI自律制御の空中試験である。