AIデータセンターの電力使用量を系統の状態に合わせて変えるため、応答速度や継続時間を共通指標とする業界横断の枠組みづくりが始まった。接続前の応答義務や運用データ共有までを一体で定める。
固定需要から系統に応答するデータセンターへ
Emerald AI、Google、NVIDIAは、電力系統の状態に応じて電力使用量を動的に管理するデータセンターを推進するAI Energy Management Alliance(AEMA)を発足させた。従来の接続手続きが平坦で固定的な需要を前提としてきたのに対し、AEMAは大規模なAI計算基盤を制御可能な負荷として扱う枠組みを目指す。
柔軟なデータセンターは、計算処理を別の時間や場所へ移すほか、蓄電設備からの放電、併設電源の利用、系統事故への応答によって受電量を調整できる。系統が逼迫したときに需要を下げられれば、既存の送配電設備を使いながら大規模需要を接続するための選択肢が増える。
応答速度と継続時間を接続前に定義
AEMAは特定の機器やソフトウェアを指定せず、施設が提供できる機能を性能で評価する。評価対象には、系統から信号を受けて負荷を変えるまでの速度、その状態を保てる時間、応答の予測可能性、緊急時の挙動が含まれる。
この性能評価を接続条件へ変換するため、AEMAの原則はride-through、負荷抑制、系統事故への応答に関する義務を施設の接続前に定めるよう求めている。ride-throughは短時間の系統擾乱が起きても接続を維持する動作を指し、負荷抑制とは異なる挙動として事前に区別する。技術要件、性能指標、運用データ共有も標準化し、施設が約束した応答を系統運用者が確認できる形にする。
検証可能な柔軟性を接続審査と費用へ反映
AEMAの原則は、検証可能な負荷柔軟性を約束する利用者に対し、リスクに応じた迅速な接続経路を設けるよう求めている。接続費用についても一律に扱わず、回避できる設備増強やランプ調整能力など、施設が系統へ与える実際の影響と便益を配分へ反映する。
この仕組みを共通化するため、AEMAはAI基盤事業者、データセンター運営者、発電事業者、電力会社、地域系統運用者を含む参加者を結ぶ。技術・運用方式の策定に加え、電力会社との接続方式の検討と、系統応答型需要を認める政策への働きかけを進める計画である。
数百回の需要信号で自動負荷削減を実証
枠組みが対象とする負荷制御は、Silicon Valley Powerのプログラムで実機検証されている。Emerald AIとNVIDIAによる実証では、AIデータセンターが数百回の需要信号へ応答して負荷を自動的に下げながら、AI処理の性能を保った。
NVIDIAによると、電力管理ソフトウェアのDSX Flexは、負荷削減要求、デマンドレスポンスイベント、価格信号を受け取り、事前に定めた処理の優先順位に従って動作する。重要な処理を継続しつつ、低優先度の処理を一時停止してから再開する構成により、系統側の要求を計算処理の割り当てへ変換する。