タンパク質の立体構造から、活性中心を遠隔で制御する部位を予測する技術が特許登録された。開発したAOI Biosciencesと東芝は、既知部位で80%以上の予測精度を確認したとしている。予測部位を標的に探索した化合物でも、標的タンパク質に対する活性を確認した。
活性中心を遠隔で制御する部位を狙う
薬が結合しやすい部位がないタンパク質は、低分子創薬の標的にしにくい。従来主流の活性中心を直接狙う手法では、副作用の問題も標的を制約している。
別の標的となるアロステリックサイトは、活性中心の機能を遠隔で制御する部位だ。この部位を狙う創薬では、標的となるサイトの特定に多大な労力とコストがかかることが課題となっている。
立体構造から内部経路を解析し、候補部位へつなぐ
創薬企業のAOI Biosciencesと東芝が共同開発した予測技術は、タンパク質の立体構造情報を入力にする。組合せ最適化ソリューション「SQBM+」を用いて内部のアロステリック経路を予測・解析し、その解析結果から有望なアロステリックサイトを予測する。
SQBM+は、シミュレーテッド分岐アルゴリズムを実装している。既存の計算機で組合せ最適化問題の近似解を求める仕組みを、タンパク質内部の経路予測に活用する。
既知部位の予測と化合物の活性を検証
AOI Biosciencesと東芝の検証では、既知のアロステリックサイトに対する予測精度が80%以上となった。この数値は、既知部位を対象にした予測の検証結果である。
予測結果は、部位の候補を得るだけでなく化合物探索にも使われた。予測したアロステリックサイトを標的に化合物を探索し、評価した結果、標的タンパク質に対する活性を確認したとしている。
予測技術を特許で保護し、製薬企業へ提供
共同出願された「アロステリック経路予測装置」は、8月10日に特許第7908389号として登録された。この特許は、共同開発した予測技術を保護するものだ。
アロステリックサイト予測サービスは製薬企業への提供を開始しており、創薬研究の現場で活用されている。AOI Biosciencesと東芝は、提供先を拡大するとともに、製薬企業と連携した創薬研究を進める方針だ。