防衛技術の供給企業を生産余力のある工場につなぐ仕組みが、NATO加盟国の新たな施策に加わった。需要の公開と民間資金の動員も組み合わせ、新しい技術製品の採用から量産までを支える。
加盟国の技術需要を5領域で公開
NATO加盟国は、新規供給企業が防衛技術の開発・生産規模を拡大できるよう、需要の提示、民間資金の動員、製造の促進を一つの施策にまとめた。製品を作る企業に対して、何が必要とされ、どこから資金と製造能力を得られるかを示す構成だ。
NATOは、防衛計画上の優先事項を踏まえた技術需要の初の公開版で、陸上部隊の戦闘能力、防空・ミサイル防衛、長距離打撃、医療・後送、兵站の5領域を挙げた。この需要の提示が、供給企業による製品開発や加盟国による採用検討の出発点となる。
試験から採用までの経路を設ける
加盟国は迅速採用行動計画で、新しい技術製品を原則として24カ月以内に見いだし、試験し、採用することを約束している。この期間は技術の成熟度や製品の性質によって変わり得る。
採用候補を見いだすため、代替製品を整理するカタログの試行が進む。技術製品を運用環境で試す取り組みも進んでおり、試験を経た製品を調達へつなぐ経路を整える方針だ。
民間資金を開発と生産へ向ける
製品を試験できても、生産規模の拡大には資金が要る。加盟国は民間の資金提供者に対し、今後3年間で防衛向け新技術の開発・製造企業へ配分する資金の割合を大幅に増やすよう求めた。これは資金調達の実績ではなく、投資を促す呼びかけである。
加盟国も、需要を明確に示すことに加え、契約、共同調達、適切なリスク分担によって資金が流れやすい条件を整える方針を示した。需要と資金の両方を製造段階へつなぐ。
空き設備と供給企業を結ぶNATO Engine
製造段階では、設備を必要とする企業と生産余力のある工場を結ぶネットワーク「NATO Engine」を設ける。NATOは利用可能な生産設備の情報を掲載するプラットフォームを提供する計画で、企業は適した製造先を探せるようになる。
製造契約は企業間で結び、NATOは個々の契約には関与しない。NATO Engineは2026年7月から試行段階に入り、当初は積層造形、エンジニアリングサービス、製造受託を対象とする計画である。