Technology

窒素冷媒で−100℃に対応する小型冷却装置を開発

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    窒素冷媒を使い、−40~−100℃に対応する小型冷却装置N-Bleathが開発された。

  2. 実現の仕組み

    小型電動ターボは高性能インペラーと超高速モーターを組み合わせ、開発元が小型化と高効率化の要因としている。

  3. 得られた結果

    電動ターボのオイルフリー軸受により、定期的な潤滑油交換が不要になった。

  4. 従来との違い

    新しい冷却装置は小型モジュール構成を採用し、従来の大型装置とは異なる設置・バックアップ構成を備えた。

窒素で冷却した液体を使って設備の熱を取り除く小型冷却装置「N-Bleath」が開発された。−40~−100℃に対応し、新開発の電動ターボを搭載する。小型化と高効率化を狙った構成で、販売開始は2027年4月を予定している。

窒素で冷やしたブラインが設備の熱を運ぶ

三菱重工サーマルシステムズが開発したN-Bleathは、窒素を冷媒とする小型ブラインチラーだ。ブラインは熱を運ぶ冷却液で、この装置では窒素によって冷却したブラインが設備やシステムの熱を吸収し、運び去る。

冷却には、開発元が研究開発を重ねてきた空気冷媒サイクル技術を用いる。三菱重工サーマルシステムズによると、この技術を用いた装置は−40~−100℃の超低温域に対応するという。

超高速モーターとインペラーでターボを小型化

冷却を担う構成には、三菱重工エンジン&ターボチャージャが新開発した小型電動ターボを搭載した。開発元によると、高性能インペラーと超高速モーターの組み合わせが、小型・軽量化と高いエネルギー効率を実現するという。

軸受にはオイルフリー方式を採用し、定期的な潤滑油交換を不要にした。三菱重工エンジン&ターボチャージャは、断熱技術によってターボ自体は−100℃未満でも冷却できるとしている。この温度域は、冷却装置全体の対応範囲とは区別される。

冷媒の窒素はPFASを含まない

冷媒に選んだ窒素は、オゾン層破壊係数と地球温暖化係数がともにゼロで、PFASを含まない。三菱重工サーマルシステムズは、こうした性質を冷媒の環境負荷を抑える要素としている。

運用面では、N-Bleathは高圧ガス保安法などの規制対象にならないと三菱重工サーマルシステムズは説明している。冷媒の選択は、超低温を得るための構成に加え、保守・運用に関わる規制上の扱いにも結び付いている。

大型装置の設置制約を小型モジュール構成で軽減

N-Bleathは小型モジュール構成を採用した。三菱重工サーマルシステムズによると、従来の大型装置に伴う設置制約を軽減し、バックアップ性を高める構成だという。

想定用途は、医療・製薬・化学・半導体分野のプロセス冷却と、航空宇宙・自動車分野の環境試験だ。これらの用途に向け、販売開始は2027年4月を予定している。