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心房間の孔が残る宇宙飛行士、NASAは一律検査・除外を推奨せず

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    アルテミス計画の船外活動に向け、減圧症、静脈血栓塞栓症、卵円孔開存を一体で扱うリスク低減方針がまとめられた。

  2. 実現の仕組み

    過去の卵円孔開存評価と静脈血栓塞栓症の検討結果を、更新された減圧症予防基準へ組み合わせた。

  3. 得られた結果

    卵円孔開存は静脈血栓塞栓症形成の主要因とはみなされず、これを理由とする宇宙飛行士選抜基準の変更は推奨されなかった。

  4. 従来との違い

    地上試験では、LVGEが確認されたことだけを理由に被験者を除外する運用から、状態とリスクを本人へ説明したうえで参加を判断する運用へ改める。

船外活動を行う宇宙飛行士と、気泡が卵円孔付近を通る心臓を描いた科学イラスト
AI生成画像

宇宙飛行士に大きな卵円孔開存があっても、一律の検査や除外は推奨されない。NASAの専門家作業部会は、気泡所見だけに依存せず、船外活動手順と継続的なデータ収集でリスクを抑える方針をまとめた。

静脈血栓塞栓症を理由に選抜基準を変えない

NASAの専門家作業部会は、アルテミス計画に関係する船外活動前の酸素予備呼吸試験、減圧症(DCS)の事例、飛行中の静脈血栓塞栓症(VTE)、心臓の卵円孔開存(PFO)の影響を検討した。勧告の根拠には、2024年のPFOとDCSの評価、2026年の宇宙飛行中のVTEに関する検討、更新されたDCS予防基準が統合されている。

この評価では、PFOはVTE形成の主要な危険因子とはみなされなかった。作業部会はこの結論に基づき、VTEを理由としてPFOに関する宇宙飛行士の選抜基準を変えることを推奨しなかった。

気泡グレードだけでは減圧症を予測できない

船外活動前の酸素予備呼吸は、減圧に伴うDCSの危険を抑えるために行う。部分重力下での歩行を含む手順について検討した結果、検出された気泡のグレードと高高度でのDCSリスクを結ぶ決定的な関係は確認されず、月面活動における予測性能も不確実と判断された。

PFOの大きさを分けた評価では、グレード1または2の小さなPFOは重大なリスクにならないとされた。気泡を少なくすること自体は望ましいものの、気泡スコアだけをDCSリスクの判定指標として扱う根拠は確定していない。

大きな卵円孔開存は個別評価と手順設計で扱う

グレード3以上の大きなPFOでは、静脈ガス塞栓(VGE)が動脈側へ通過し、重大な健康事象を起こす可能性が検討された。しかし、PFOの閉鎖や該当する宇宙飛行士の除外によってその危険を大きく減らせるかについて、作業部会内の見解は一致しなかった。

NASAの作業部会は、大きなPFOを対象とする一律検査や宇宙飛行士の一律除外を推奨せず、手順設計によるリスク低減と継続的なデータ収集を重視した。個別にPFOを評価した場合は、本人へ状態を知らせ、大きなPFOには閉鎖の選択肢を提示するよう求めている。

地上試験の参加条件と船外活動前後の服薬を見直す

地上試験では、LVGEという気泡所見が確認されたことだけを理由に被験者を研究から除外しないよう勧告された。試験手順は被験者の安全と対象集団の代表性を両立させ、LVGEの状態と関連リスクを本人へ十分に説明する必要がある。

船外活動前後の服薬にも明確な臨床指針が求められた。指針では、DCSの予防や痛みの軽減を目的とするアスピリンの使用に加え、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブがDCSの症状を隠す可能性を扱う必要がある。