舶用LNGエンジンの排ガスに残る未燃メタンを酸化する触媒装置が、実船試験の初期測定で装置単体の酸化率90%超を示した。三菱重工業が公表した成果で、装置の基本設計も日本海事協会の基本承認を取得した。
排ガスに残る未燃メタンを酸化する
メタン酸化触媒装置が処理するのは、舶用LNGエンジンで燃えずに排ガスへ出るメタンだ。この未燃メタンは「メタンスリップ」と呼ばれ、今回の実証装置の処理対象となっている。
装置はメタンを酸素と反応させ、二酸化炭素と水へ変換する。排ガス中のメタンを化学反応で別の物質へ変えることが、処理の仕組みとなる。
触媒を船舶搭載とエンジン最適化へつなぐ
三菱重工グループの舶用機械会社である三菱重工マリンマシナリと、造船会社の三菱造船、舶用エンジンメーカーのDaihatsu Infinearthが装置を共同開発した。開発の核となるのは、触媒の設計・製造技術だ。
その触媒技術に、船舶への搭載技術とエンジンの最適化技術を組み合わせた。触媒による排ガス処理を実際の船に組み込むため、装置側と船舶・エンジン側の技術を結び付けている。
実規模の船上装置で酸化率90%超
実規模の実証装置は、LNG燃料を船舶へ供給する燃料供給船KEYS Azaleaに搭載されている。この船上装置を使った実証試験は、日本郵船の協力で進められている。
三菱重工業によると、初期測定では排ガス処理装置単体のメタン酸化率が90%を超え、想定した性能を確認したという。この数値は装置が処理するメタンの酸化率であり、船全体の温室効果ガス排出量の削減率を示すものではない。
基本設計の承認を得て商用化へ進む
船上での性能確認と並行して、三菱重工マリンマシナリと三菱造船は、装置の基本設計について船級協会の日本海事協会(ClassNK)から基本承認(AiP)を取得した。AiPは、基本設計の審査を通じて技術要件と関連する安全基準への適合を確認する承認だ。
実船での初期測定が装置の処理性能を示す一方、基本承認は設計の技術・安全面を確認する。開発各社は、この二つの成果を受け、商用化に向けた開発を加速する計画である。