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核融合実験炉ITERの超伝導コイル、1万アンペアの安定通電に成功

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    核融合実験炉ITER向けの大型コイルが、極低温の試験で1万アンペアまで安定して通電した。

  2. 実現の仕組み

    ニオブスズの超伝導素線900本と銅線522本を束ねた導体を冷却し、超伝導状態で大電流を流した。

  3. 得られた結果

    接続部の抵抗発熱量と極低温下の冷媒流動特性が、いずれも設計時の想定範囲内に収まった。

  4. 従来との違い

    室温から摂氏マイナス269度への冷却で、製作済みの大型コイルが超伝導状態へ移行したことを確認した。

核融合実験炉ITER向けの大型超伝導コイルが、摂氏マイナス269度で1万アンペアの安定通電に成功した。接続部の発熱と冷媒の流動特性も設計時の想定範囲内に収まり、冷却・通電による冷媒漏えいなどの不具合は確認されなかった。

900本の超伝導素線を束ねて磁場をつくる

量子科学技術研究開発機構(QST)と東芝が製作したトロイダル磁場コイル(TFコイル)は、核融合実験炉ITERでプラズマを閉じ込めるための磁場を発生させる。電流を流す導体は、直径0.82ミリメートルの超伝導素線900本と銅線522本を撚り合わせ、ステンレス管に収めた構造だ。超伝導物質にはニオブスズを使い、摂氏マイナス255度以下への冷却で超伝導状態になる。

室温から冷却し、超伝導状態で通電

ITER建設サイトでは、ITER国際核融合エネルギー機構(ITER機構)との協力により、コイルを室温から摂氏マイナス269度まで冷却した。QSTと東芝によると、この冷却で超伝導状態への移行を確認し、その状態で初めて1万アンペアまで安定して通電した。製作した大型コイルについて、極低温への冷却と大電流の通電を実際に成立させた試験となる。

接続部の発熱と冷媒の流れを測定

極低温での安定運転に関わる測定では、導体の接続部に当たるジョイント部の抵抗発熱量を取得した。QSTと東芝の試験結果では、この発熱量は設計時の想定範囲内だった。極低温下の冷媒の流動特性も取得し、こちらも設計時に想定した範囲に収まった。

冷媒漏えいなく、製造方法の妥当性を確認

QSTと東芝によると、極低温への冷却と1万アンペアの通電による冷媒漏えいなどの不具合はなく、コイルの健全性を確認した。導体に使うニオブスズはひずみに敏感であり、製造後の大型コイルが超伝導状態で安定して通電したことを踏まえ、両者は今回の試験で製造方法の妥当性を確認したとしている。