液体酸素と固体燃料を使うハイブリッド推進が、地上燃焼試験からサブオービタル実証飛行へ進む。全長10メートルのBaguette Oneは、2027年にフランス国内から打ち上げられる計画だ。
10メートルの単段機でハイブリッド推進を飛行検証
フランスのHyPrSpaceは、全長10メートルの単段式サブオービタル技術実証機Baguette Oneを開発した。初打ち上げは2027年に、フランス・ビスカロッスのDGA Essais de missilesランデス試験場から実施する計画となっている。
この飛行では、ロケットを宇宙空間へ到達させること自体に加え、HyPrSpaceが選んだ機体技術と推進技術を実際の飛行条件で検証する。得られる知見は、軌道投入用の商用ロケットorbital Baguette One(OB1)の開発に引き継ぐ。
液体酸素と高密度ポリエチレンを組み合わせる
Baguette Oneのハイブリッド推進は、酸化剤に液体酸素(LOX)、燃料に高密度ポリエチレン(PeHD)系の固体材料を使う。液体と固体を組み合わせる構成により、固体燃料へ供給する酸化剤の流れを利用して推力を発生させる。
HyPrSpaceのエンジンは、液体推進剤を高圧で送る一般的なターボポンプを使用しない。フランス装備総局(DGA)は、この構成では従来型エンジンに比べて機械部品が30分の1になり、開発、製造、運用を経済的にできるとしている。
実物大エンジンの地上試験から搭載構成へ進む
DGA Essais de missilesは2022年以降、ジロンド試験場でHyPrSpaceのエンジン試験を進めてきた。試験対象はJoker実証機から、実物大のTerminator試作機へと段階的に移っている。
実証飛行の前には、Baguette Oneの搭載エンジンを代表するToasterエンジンを地上で作動させる。試験にはサン=ジャン=ディヤックに設けた新しい試験台を使い、これまでのエンジン単体の成熟化を飛行用構成へつなげる計画だ。
計測と追跡を組み込みサブオービタル飛行を解析
DGA Essais de missilesは、打ち上げ準備に必要な技術能力をDGA Maîtrise de l’information、DGA Techniques aérospatialesなどの部門から集め、フランス国立宇宙研究センター(CNES)と連携する。複数部門の試験設備と工学知識を一つの飛行試験へ組み込む役割を担う。
打ち上げ時には、計測設備と追跡設備で機体の飛行を捉え、安全確保の設備で人、財産、環境へのリスクを管理する。そこで収集したデータを飛行後の解析に使い、地上試験では得られない実飛行条件で推進系と機体技術を評価する。
飛行データを250キログラム級の軌道投入機へ引き継ぐ
Baguette Oneで検証する技術の次の対象が、商用ロケットのOB1である。OB1は、質量250キログラムの衛星を軌道へ投入する機体として開発される。
サブオービタル実証では軌道投入そのものではなく、推進系を含む技術選択を飛行環境で確かめる。地上試験、Toasterエンジンの試験、Baguette Oneの飛行という順序で検証範囲を広げ、その結果をOB1の開発へ渡す。